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建設経済常任委員会行政視察

11/5~7の日程で、建設経済常任委員会、初めての行政視察に行ってまいりました。

行政視察とは、本市の課題や問題となっている点について、先進的な取り組みを実施している自治体に赴き、施設見学や当該事業の進め方やポイントなどをご教授戴き、持ち帰って本市の課題遂行に役立てるという視察になります。ですので、ただ見て帰ってくるだけではダメ、本市に生かすという所が大きな役割になります。

今回視察させていただいたのは

山口県宇部市・路線バス再編~コミュニティー交通への発展について

福岡県北九州市・小倉競輪場 民間包括委託の仕様と民間ノウハウの効果

福岡県八女市・町家活用と官民連携の古民家再生

福岡県糸島市・漁協と連携した水産振興と販路拡大

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糸島市では、豊かな水産資源を生かしたまちづくりをめざして漁協主導で活性化し、糸島ブランドとして博多や東京などで重宝され、漁業のシーズンオフには直売所として牡蠣小屋を賑わせる事で、二毛作とも言うべき体制が整った地域でした。

雰囲気的には西伊豆に似ていて、リアス式海岸のように山と海が近接していることから豊富なミネラルが海に溶け込み、牡蠣の養殖にもよし、鯛も盛んに釣れるとても良い釣り場が豊富だとの事です。本市建設経済常任委員会の太公望の先輩がここに住みたい!と仰るくらい、のどかな雰囲気の良い所でした。

本市でも11月22日に、早川漁港周辺に新たな商業施設「TOTOCO」が開業いたします。こちらでJF(漁業共同組合)さんが直売所を設けますので、それを皮切りにこうした直売での発展による漁業に従事する方の潤いと地域活性化につながればと思いました。

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八女市では、その昔城下町であった事から、「鰻の寝床」と称される長屋が点在していた事や、歴史的建造物が平成3年の台風17号、19号により甚大な被害を受けた事をきっかけに、とある新聞記者の発信から町家再生~町家活用へと進むこととなったそうです。

八女市をはじめとする福岡県南西部ではお茶、特に玉露の産地としても有名で、趣のある再生された町家で、由緒ある美味しい玉露の味わい方を堪能させていただきました。こうした体験型の飲食と、街並みの融合は非常に重要です。いくら美味しい玉露でも、きっと雑踏の中や異臭漂う所では美味しくいただけないことでしょう。

また、町家再生について小田原市と大きく違う点が、NPOが機関となり再生や斡旋に携わっているという所。

小田原市でも歴史的建造物は市の予算を大きく投じて数多く保護しています。市で修繕するとなると、「耐震性能」を満たす必要があり、修繕工事金額も非常に高いものとなっていまいますが、八女市ではNPOがその再生から斡旋までを担う為、耐震性能はできる限り、再生件数をできる限り数多く、という意志が強く見えます。

小田原は、「地方再生コンパクトシティのモデル都市」に選定され、巨額の資金と国の補助金を使うわけですが、本市の歴史的建造物維持修繕に関しては点々としていて、個人的にはこうした八女市の連結した取り組みが羨ましく思いました。

ここでも民間の力強さを感じた次第です。

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消火栓一つ隠すにしてもこのような形。

こういう景観に配慮したこだわりは大好きです。

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北九州市では、日本随一の競輪場である小倉競輪場を視察。

なんと全天候型、ドーム競輪場です。中央の広場はアリーナステージと呼ばれ、競輪以外にも多目的に使用されているそうです。例えば市内幼保小中学校などの運動会や、ライブコンサート、本市建設経済常任委員会の先輩議員は某団体の全国大会をこのドームで行なったとの事でした。

なぜ競輪場を視察か?という点ですが、決して賭け事に行ったわけではありません。

本市でも小田原競輪が開催されていますが、この競輪事業は公共事業であり、市の職員が競輪事業に従事しています。戦後復興のその昔は非常に大きな収益を出し、市政に還元してくれた小田原競輪も、近年収益は下降しておりその存廃が検討されはじめました。

小倉をはじめ、先日小田原市役所に来庁いただきお話を伺った川崎市など、競輪事業の先進都市ではその業務を「民間へ包括して委託する」ことで、収支改善を図ってきたそうです。いわば行政マンからその道の民間のプロへ事業を託す事です。これにより従前なかったPR方法やイベント内容が増えて、収益改善とともに事業継続性が高まってまいります。先に説明した運動会やイベント開催などがその最たる例になります。

来年度から小田原もまずは二ケ年の業務委託を行い、その都度公募型プロポーザルを行なって担当事業者を選定していきます。従来の閉鎖型ではない明るく開けた収益性のある小田原競輪へと期待してやみません。

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バンクの中にも入れていただきました。

しかしこれだけ立派な施設ですから、その維持管理とその金額も大変だそうで、やはり無いものねだりになってしまうこうした夢も、現実を直視せざるを得ません。

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山口県宇部市では、路線バス再編~コミュニティー交通への発展について伺ってまいりました。

宇部市は人口16.7万人と、現在人口19万人の小田原市と比較的近い人口規模の地方公共団体になります。しかし、その交通環境は大きく異なるものでした。新幹線の停まる大きな駅である新山口駅から宇部市役所までの「宇部線」は運行本数が非常に少なく、こうした意味では横浜や東京に複数路線かつ緊密に接続している小田原は非常に利便性が高いのだなと再認識しながらの移動となりました。

そして、宇部市では「市営バス」を公共交通事業としており、その再編に至る経緯と内容をご教授いただきました。この再編についても本市と大きく異なる点です。本市では路線バスはいずれも民間バス事業者であり、行政側から路線の縮小などを行う位置にありません。しかし宇部市においてはその再編を皮切りに、路線バスが無くなる地域や不便になる地域の為に、民間の「協議会」が各地域で設立され、「コミュニティータクシー」として起動しました。

その事業費については今現在の所、国や県など様々な補助が入り宇部市の負担金割合は8%との事でしたが、今後の見通しは不明でいつまでこうした形態が続けられるのかは不安だと仰っていました。

私もこれまで2回行なった一般質問で、地域交通について様々なやり取りを所管課の方とさせていただきましたが、いつもネックとなるのが「赤字」という単語でありました。単純に公共交通が少ないエリアに公共のコミュニティバスなどを増やしてくれ、という要望は赤字がかさむから厳しいという話です。今後郊外エリアにおいては路線バスの減便が懸念されます。そうした中、コミュニティータクシーやデマンドバスなど従来よりもフレキシブルな交通機関をと願っていますが、宇部市のような先進都市においてもその負担についての課題解決が難しいといった印象を受けました。今現在ではこのコミュニティバスなどの声はまだ一部ですが、いよいよ大きくなってくると扶助費・福祉の一部として捉えていく必要があるのかなと感じました。

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他の地方公共団体の方のお話を伺うと共に、その先進事例と「今後の課題」を包み隠す事なく教えていただけて非常に大きな収穫でした。

ご教授いただいた各地方公共団体の事務局の皆様、職員の皆様、本当にありがとうございました。