7月27日オリンピック種目

サーフィンで、

男子・五十嵐カノア選手 銀メダル

女子・都築有夢路選手 銅メダル

とても素晴らしい成績でした。本当におめでとうございます。

 会場となった千葉県の釣ヶ崎海岸サーフィンビーチ(通称:志田下)は、元々サーフィン道場などとも呼ばれ、有名なポイントです。

そしてこのエリアで今も活躍されている先輩が「一宮町とサーフィンの発展のために」議員に立候補⇨当選されて以降、志田下にはトイレが整備され、凸凹だった道路が綺麗に整備され、サーフタウンとして発展していく姿を見て、議員が行政に民意を伝えていくことの意義を大きく知る所となりました。私自身のその後の活動や議員を目指すきっかけとなった、大きな出来事の一つです。

地元の方はオリンピックで暫くの間、志田下でサーフィンをする事ができなかったりとご不便もあり辛かったかと察します。しかし日本人選手が素晴らしい結果を残してくれた事で、いくらか気が晴れたのではないでしょうか。地元の方、大会運営に関わった皆さん、大変お疲れ様でした。

このファイナルの日以降、各方面の方とお会いする度に「五十嵐カノア?オリンピック凄かったね」「おめでとう」「惜しかったね」など、とても多くの方からまるで私の事のようにお祝いの言葉をいただき、私事ではないのですがこれまでサーフィンに関わってきた手前、競技としての認知度向上の観点は業界としても大変嬉しい限りです。また、議員にさせていただくまでは選手としてずっと試合に出ていましたが、試合でのサーフィンは通常よりも格段に疲れます。それを今回のようなラフなコンディションで、ほとんど続けてのヒート。相当疲れるはずなんですが、、、流石トッププロ。本当に素晴らしいパフォーマンスでした。

オリンピックの特徴として例えば、マラソンなどで誰かが好成績を収めた直後、街中にランナーが増える現象があります。盛り上がって、やる気になるんでしょうね。素晴らしい効果だと思います。それと同じく今回日本人選手達の好成績により、更にサーフィン業界が盛り上がり老若男女へ裾野が広がる事を期待しつつ、環境とゴミの問題についてもっと理解を深めてもらいたい点と、自然相手のスポーツ故に力量と安全面を踏まえた適正な判断についての「教育」が今後より重要だと思います。

今こそこうした取り組みを国内の各種団体で繋ぎ、伝えていくべきですね。私もよりこうした観点に重きを置いて活動したいと思います。

ところで、あまりにも競技サーフィンについてお問い合わせが多いので、サーフィンをよくご存知ない方にもサーフィンの試合について分かればと思い、以下のようにまとめてみました。長文ですが、興味のある方は覗いてみてください。

<サーフィンの試合>

他のスポーツの様に、アマチュアの小さな試合から、エリートツアーとも呼ばれる「CT(チャンピオンシップツアー)」まで大小様々ありますが、基本的な勝敗は

『他の選手より良い波に、うまく、派手(難しいマニューバー)に、カッコよく(美しく)乗る』

で決まると思っていただければOKです。

そしてサーフィンの試合は何といっても「良い波に乗る事」が最重要課題になります。

「ウェイブポテンシャル」と呼びますが、良い波=良いアクションができる=高得点が期待できる という事なので、その日のコンディションを見極め、対戦相手よりも良い波を掴む必要があります。いくらトッププロでも波に乗らなかったら点が出ませんので試合に勝てません。

<得点について>

・点数について

10点スケールのベスト2waveが主流です。選手が波に乗った演技は全てジャッジによって採点され、その中から良い点数の2本を合計した点数で競います。

(ビッグウェイブコンテストなどでは1本や3本とすることもあり、試合によっても違うことがありますが、今回のオリンピックやCT、 QSではbest2waveです)

・ジャッジの採点レンジについて

以下のように大きく5段階のレンジに分けて判断します。

0.1~1.9・POOR( プアー )波に乗ってもすぐこけたり、ほとんど何もしていない〜少し走った程度、良くない演技

2.0~3.9・FAIR(フェアー )ターンするなど少し演技したけどパッとしない

4.0~5.9・AVERAGE(アベレージ )平均的な点数、それなりの演技

6.0~7.9・GOOD(グッド )イイね!とうなずいてしまうような良い演技

8.0~10.0・EXCELLENT(エクセレント )思わず「ワオ!」と声が出てしまうような素晴らしい演技

*これらは全てジャッジが採点します。以降に掲出するようなマニューバーと呼ばれるアクションを行う事で、高い点数が期待できます。とても派手な演技をしても、フィニッシュで失敗するとあまり点数は伸びません。

・ジャッジの採点基準について(WSL judging criteria参照)

①コミットメントと難易度(やってやる!という積極性、決意表示と、その技の難易度)

⇨サーフィンのターンやエアーは技術的に簡単なものから難しいものがあり、より難しい事をより難しい所でアクションすると派手なサーフィンとなり、評価されます。

ビッグウェイブコンテストの時により大きな波に乗る!という事もコミットメントになりますし、難しいセクションに何かしかけそうだと明確に意思表示する事もコミットメントになります。無難なサーフィンには点を出さないよ、ということになります。

②革新的で進歩的なマニューバー(新たなアクション)

⇨見慣れた簡単なマニューバーには高い点が出ません。「え!この波でこんなことやっちゃうの!」「何そのエアー?!」といった革新的なマニューバーが求められます。

③メジャーマニューバーの組み合わせ(明確なターンやエアーなど)

・ボトムターン(波の平なボトム側で次に行うアクションの為に、加速と角度をつける)

・リエントリー(オフザリップ等、波の頂点付近で行うアクション)

・カットバック(進行方向逆の波のパワーがあるエリアに戻るアクション)

・フローター(波のフェイスが崩れてしまったセクションを抜ける)

・チューブライド(トンネルのようになる波、入っても綺麗に出てこないと評価されない)

・エアリアル(波の頂点付近から飛び出すアクション)

⇨ここに挙げたようなメジャーなマニューバーを組み合わせます。

④マニューバーの多様性

⇨上の③を組み合わせる事で演技を表現し、その多様性で採点されます。

⑤スピード、パワー、フロー

・スピード=速度

・パワー=力強さ

・フロー=つながり

⇨レールの入り方、スプレーの飛び方などでスピードとパワーが示され、波に応じたマニューバーによってそのつながり=フローが示されます。

良い波の良い場所を良い技術を持って走らないとスピードは出ません。スピードがないとパワーは生まれず、スピードが無いとマニューバーはつながりません。スピードパワーフローは良いマニューバーの条件でもあります。

*チューブライドに関しては、「ストール」と言ってわざとスピードを落として波の速度に合わせる事があります。それもフローです。

この①〜⑤を踏まえて、その試合会場の波質・波の高さなどを盛り込んだ上でジャッジングします。冒頭でも触れたようにいくら技術のある選手でも、良くない波に乗っても出せる点数の上限は決まってしまいますので、どの波に乗るか。波の選択は最重要になります。

<試合の楽しみ方やその他ルール等>

・サーフィンの試合を見ている時に「今のは6点くらいだな」「さっきのが7.5だからこれは8.5くらいかな」など、選手が乗った点数を予想し実際に出てきた点数に一喜一憂したり、選手それぞれのポジショニングや、プライオリティをどう使うか等を想像しながら応援します。

また、サーフィンの試合は総じて常に選手が乗り続けることが無い為、web観戦の場合 画面上の待ちが多くなります。WSLの試合中継だと直前に勝ち上がった選手のコメントや、ヒート進行している点数の解説、リプレイやその解説など飽きさせない工夫が多いのですが、オリンピックではそうしたサービスが少なく残念でした。(TVでの再放送は見られなかったので、そちらでできていたらすみません)

・プライオリティルール

世界共通フリーサーフィンでも試合でも、一つの波に1人しか乗らないというルールがあります。試合では波の優先権=プライオリティを設けます。

オリンピックでは画面左上にP1やP2と出ていた表示がそれになります。P1はプライオリティ1番、P2は2番といった表現で、プライオリティ1番を持っている選手はどの波にも優先的に乗れますので、もし自分が勝っている状態でとても良い波が入った場合、対戦相手に乗られないようにブロックの意味を持って優先的に乗る事(=戦術)があります。

逆に、プライオリティは一度波に乗る意思を見せた時点で外れるので、そうしたブロックは行うタイミングも難しく、今回の波ではプライオリティを持っていない状態でも点数が出せる波が取れる状態でした。(イタロ選手はプライオリティが無い場面で、インサイド寄りの波に照準を当て見事にメイクしていました)奥が深いルールです。

・インターフェア(インターフェアランスコール)

所謂妨害です。

妨害した選手はバックアップの点数(2番目に高い点数)が半分にされてしまいます。(インターフェアを2回行うと失格)

2〜3年前CTでのごく稀な例ですが、ハワイの試合ですが波が少ないヒートで

A選手4.23+2.07=6.3pt

B選手0.63+0.5=1.13pt このような得点状況でした。

一見A選手が全然勝っていますが、B選手が必要な点数はたった5.67pt。ハワイの良い波であれば充分に出せる点数です。

残り時間僅かなタイミングでB選手がプライオリティを持っている状態で素晴らしい波が来ました。とても良い波なので、B選手に乗られたら逆転されてしまうと判断したA選手は、敢えてドロップイン(妨害・インターフェア)を実施、

結果

A選手4.23+1.03(2本目半減)=4.26pt

B選手0.63+0.5=1.13pt のまま

⇨A選手の勝ち

なんていう使い方を一度見たことがあります。(かなり高度ですが)トッププロは勝つ為に様々なことを海の中で考え、あらゆる戦略を練っています。その戦術がハマったのを見ると、こちらも楽しくなってしまいます。

・コンビネーションシュチュエーション

今回のオリンピック男子決勝ではヒートの途中から

イタロ フェレイラ選手 7.77+7.37=15.14pt

五十嵐カノア選手 3.83+2.77=6.60pt

と、このような得点になっており、カノア選手からするとコンビネーションシュチュエーションやコンボと呼ばれるシリアスな状況でした。

カノア選手が10点満点を出しても

10+3.83=13.83pt

でまだイタロ選手に追いつかない為、2本とも書き換える必要がある状況=コンボ。決勝の荒れたジャンクな波で10点満点はまず望めず、8点出してもまだ7.15以上が必要なとても厳しい状況に追い込まれました。

この状況が分かっていると、残り1分を切った時にイタロ選手が勝利を確信して海から上がってきたのが理解できると思います。(あの場面では、大谷選手がホームランを確信してゆっくり歩き始める確信歩きと同じです)

またこうした面で、今回のオリンピックの映像ではニードポイント(必要なポイント)などの表示も少なく、試合のルールが分からない人が見て、状況を理解できる内容ではなかったと思います。(そもそもオリンピックの特設LIVEページに辿り着くのも大変で、HPにも得点の詳細が記載されていませんでした。ちょっと不親切ですよね。)

次回オリンピックはフランス パリで、サーフィンの会場はフレンチポリネシアのタヒチ・チョープーです。ビッグウェイブでのバレル(チューブライド)コンテストとなることでしょう。バレル対決となると今回の試合よりも格段に分かりやすいと思います。サーフィンの試合はもっとエンタメ性があるので、サーフィンにつながりの浅い人にもわかりやすいコンテスト運営に期待したいと思います。

私も選挙の前の年まで全日本に出て、週6回位ほぼ毎日練習していました。現在ではそれだけ沢山サーフィンする時間は取れませんが、またいつか試合に出たいなとワクワクした一方、今回のオリンピックでは改めて議員になったきっかけ、小田原にもっとサーフィンやビーチカルチャーの根を生やし、仲間の声を行政に届けていく役割を再認識しました。初心忘れるべからず。

今後も魅力的な小田原となるように、今まで届かなかった海からの声が届く様に、提言させていただきたいと思います。

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